予防鍼灸研究会は、西洋と東洋の医学を橋渡しする場として、そして予防や未病について深めるために定期的に研究会を開催しています。
第7回の今回のテーマは「ムクナ豆」です。 ムクナ豆(ハッショウマメ、八升豆)とは、 L-dopa(レボドパ)を多く含む豆です。 L-dopaは、体内に吸収された後に脳内で神経伝達物質ドーパミンに変化する原材料で、パーキンソン病の治療法として応用できる可能性が注目されています。
今回の講師として、 ムクナ豆の専門家である三浦左千夫先生(NPO法人-MAIKEN代表、長崎大学客員教授)と ムクナ豆のパーキンソン病応用に詳しい西川典子先生(順天堂大学医学部附属順天堂医院脳神経内科准教授) にお願いしております! 詳しく抄録をつけておくのでお読みください。
開催日時
2021年11月28日(日)
16時から18時半
zoomによるオンライン開催
前半に、一般講演三題、後半に、教育講演「ミラクルパワーのムクナ豆でQOLを高めよう」 三浦左千夫先生、
特別講演 「パーキンソン病とムクナ豆」西川典子先生があります。
★第7回定例会の申し込みは以下から★ https://forms.gle/V2aZaJk4YxEF9xyH7
参加費については、
会員は振り込み済みなので不要。
非会員は3000円ですが、新会員になれば1000円です。
奮ってご参加下さい。
以下、講師の略歴と抄録です。
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「ミラクルパワーのムクナ豆でQOLを高めよう」
講師 三浦左千夫 (NPO法人-MAIKEN代表、長崎大学客員教授)
略歴
1968年3月北里大学医療衛生学部卒業
1968年4月慶應義塾大学医学部寄生虫学教室入局
1968~70年 ブラジル・ペルナンブコ国立大学熱帯医学研究所
1988~90年ブラジル・ペルナンブコ大学付属免疫病理研究所(LIKA)
2011年慶應大学医学部:定年退職
2011年日本赤十字社中央血液研究所特別研究員
2010年~現在:東京医学技術専門学校(非常勤講師)
2011年 4月~現在:ブラジル総領事館医療相談員
2013年 ブラジル・セアラ州・FVJ 客員教授(寄生虫学)
2016年 NPO法人MAIKEN(南アメリカ文化遺産研究所)理事長
2018~現在:長崎大学客員教授(熱帯医学)、松陰大学看護学部非常勤講師
私とムクナマメ(八升豆)の出会いは遺伝性進行性ジストニア(瀬川病)の患者様との出会いでした。その患者様の家族が「その豆が無いと娘は正常に学校にも行けません、探してください」でした。小生の仕事柄殆ど毎年ブラジルの田舎町で過ごすことが多かったので、ブラジル食文化の中に豆は欠かせません、すぐに探せますよと安請け合いしました。ブラジルの食料市場に足を運び探しましたが、見つからず?? 「フェジョン・デ・ムクナ(ムクナマメ)」はどこにあるか?と尋ねると、肥料屋又は家畜飼料屋だとのことでした。半信半疑で持ち帰り、その家族に渡したところ、「当にこの豆です、これで娘は動けます」とそのムクナ黄な粉を食べ始めてから、正常に動けるようになり、現在は立派に社会人生活をしておられます。このような成分を含むマメならばヒトの健康維持にQOLを高める意味で広く食用として利用されることを期待します。
「パーキンソン病とムクナ豆」
講師 西川典子 (順天堂大学医学部附属順天堂医院脳神経内科准教授)
略歴
愛媛県立松山東高校卒業後、信州大学医学部に進学。卒業後、信州大学医学部附属病院 第三内科に入局。長野県内の病院で研修し、2005年愛媛大学医学部附属病院 薬物療法・神経内科学に勤務。2018年から国立精神・神経医療研究センター病院 脳神経内科、2020年から順天堂大学医学部神経学講座にて勤務している。
パーキンソン病治療薬であるL-dopaの薬物動態の研究がライフワークで、ムクナ豆とは2005年に愛媛に移ってからの付き合いになる。 ムクナ豆は、古代アーユルヴェーダの時代からパーキンソン病(PD)患者の治療に応用されていたとの記録がある。ムクナ豆は八升豆とも呼ばれるように1粒から大量の実を結ぶ食品で、L-dopaを豊富に含有する。PD治療薬の要であるL-dopaは、薬効の高率のよい発現のため、また副作用の軽減のためにL-dopa代謝酵素阻害剤との合剤として開発されている。一方ムクナ豆はL-dopa単剤に近い組成であり、薬剤として代用するには有効性・安全性が不確かで、PD治療の中心的な役割を担うものではない。しかし、とかく薬の数が増えてしまうPD治療において、症状の軽減を図れる食品は魅力的である。そこで、私たちは健常な方でもPD患者でも安全にムクナ豆を摂取するために、末梢血L-dopa濃度を測定して、L-dopa治療薬との併用時の、より適切なムクナ豆の摂取量、摂取方法を提案している。ムクナ豆の安全な使用方法を知った上で、前向きな療養生活の楽しみの一つと位置づけていただければと願っている。